太陽公園白鳥城オープン……テヘッ一番乗り
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平成21年4月19日(日) メンバー おひとりさま
太陽公園城のエリア〜太陽公園石のエリア
太陽公園白鳥城オープン当日の写真から
姫路市のパラダイス、太陽公園に新たなランドマークが誕生した。
ドイツ国バイエルン州フュセンの南、オーストリア国との国境近くに、バイエルン王の単なる趣味のため17年の歳月と一国の経済をも破綻させかねない勢いでノイシュヴァンシュタイン城(1886年建設中止)なる山城もどきが建てられた。このノイシュヴァンシュタイン城の生い立ち自体に、静岡県熱海市の錦ケ浦にそびえ立つ熱海城(竣工1959年)に似た胡散臭さがあり、その胡散臭さ故に、いかなるヨーロッパの古城をも凌駕する中世騎士道世界を具現化する美しい山城として存在している。
このノイシュヴァンシュタイン城を真似たのを「白鳥城」と名付け、太陽公園隣接地の岩崎山(標高114m)頂上に、3年の年月と数十億円にのぼる巨費を惜しみなく注ぎ込み建築し、ついに竣工しオープンの日を迎えた。まことに太陽公園らしさが如実に現われたもので、すでにパラダイスな太陽公園を、日本一、いや世界一のパラダイスへと、もう誰も到達できない高みへと飛翔させてしまった。
登城用モノレール
7:10
家から自転車を40分漕いで、太陽公園白鳥城の正門前に着いた。バスの始発はまだだし、太陽公園周辺の大渋滞を予測しての自転車だったが、誰もいない。
べつに白鳥城一番乗りを目指したわけではない。私が本当に一番乗りを目指すなら、日の昇る前に、いや前夜から泊まり込んでいただろう。「太陽王国 白鳥城」と記された門扉は、ほとんど飾りのようなもので横を抜けるのは簡単で、中になぜか二つもある料金所のどちらかの前で待ってもよさそうだ。でも、この門を通らずして白鳥城には登りたくない。
オープンまで1時間を切った、まだ私以外に誰もいない8時過ぎ、太陽公園白鳥城スタッフの方が写真を撮りながらやってきた。で、「野歩記さんですか」と声を掛けられた。いつもの山登りの格好ではないのに、この後も何人ものスタッフに声を掛けられたが、雰囲気で分かるという。
スタッフの方々の間では播州野歩記が話題になり、私に影響されて周辺の山々にみんなで登っていて、それも私が登っていない山まで片っ端からで、私も負けてはいられない。
私の太陽公園白鳥城の情報源「松平竹千代氏」による「真・竹千代楼」も話題にのぼり、日赤の屋上ヘリポートからも見てみたいがまだ実現していないという。
9:02
理事長の門口堅蔵氏の出迎えを受け、モノレール乗り場の前の料金所に移動。何のオープニングイベントらしきものもなく、ただ先着10家族のみの記念品を受け取り、理事長と握手する写真を撮ってもらっただけで、モノレールの乗客となる。
この段階で、もう一つの料金所が早く発券したためモノレールの一番の乗客とはなることができず、座席にも座れなかった。まあ、太陽公園らしさがあふれる、オープニングで面白かった。
KAHO MONORAIL model KMR-40 capacity 40people production no. 18V9 manufactured on Dec.2008
このモノレールは株式会社嘉穂製作所のもので、全長177m、勾配19度、速度70m/分、定員40名×2両で、車両内中央部の車椅子スペースを囲むように座席と吊り輪が設けられている。
姫路市民なら誰でも知っている姫路モノレール(総延長1.6km、1966年〜1974年、今でも軌道桁や橋脚の一部を見ることができる)を建設した元姫路市長石見元秀氏の三男、現姫路市長石見利勝氏の時代に、規模は10分の1になったが姫路市に再びモノレールが走り始めたのも何かの因縁だろうか。
得てして、こういう乗り物だと山頂側車両のかぶり付きが特等席と思いがちだが、さにあらず。終点が近づくだけで眺めに変化の少ない山頂側よりも、麓側のほうが登るに従いどんどんと眺望がよくなっていく。これは下りにも言えることで、山頂側は面白味がない。
モノレール軌道の傾斜は一定しているのか、宍粟市山崎町「国見の森公園」の同型(平成18年運行開始、無料だが予約を要す)のような搬器の水平維持装置はない。そのためかだろうか、ガタゴト感が少々あり乗り心地はこっちの方が悪い。
今思えば、私は太陽公園白鳥城よりもこのモノレールの一番列車に乗りたかったのかも知れない。
「ドアーが閉まります、ご注意ください」の自動放送から3分間後に山上駅に到着。麓駅も山上駅も、プラットホームは軌道の傾斜に合わせて二段になっていて、乗り場のドアと搬器のドアは連動して開閉する。
いよいよ白鳥城へ
モノレールを降りて、麓から白鳥城へ登る車道を南側城門へと進む。無機質な石の城だが、四角四面な墓石のようにも見える現代建築物に慣らされた私の目からは、曲面と平面が織り成す外壁が艶かしく見える。
この山の名は岩崎山といい、東端の峰相小学校の向かい側から登ることができる。その詳細は私の山行記録を読んでもらうとして、登り着くのは下の写真のところだ。白っぽい斜面の上に「太陽神」と刻まれた黒い石碑があり、その間は低いフェンスと鍵の掛かった扉で遮られている。
ここから白鳥城に無賃入城するハイカーも、ここから山へ迷い込む観光客もいるわけがなく、おそらく播州野歩記の影響を受けた酔狂な輩の進入を拒むためで、このフェンスを「野歩記返し」と命名する。
東面は午前中は順光、午後は逆光となり、真剣に全周からの太陽公園白鳥城の写真を撮ろうとすると一日がかりの大仕事になってしまう。竣工式から1日しか経っていない白鳥城はぴかぴかで、侘び錆びの幽玄の世界が大好きな私は10年後の白鳥城が楽しみだ。
南向き城門の前は狭く城の全体が写真に収まりきれず、広角レンズが欲しいところだ。記念撮影をするにも人物を大きく入れると、背景にこれといったものがない。まあそのうち、観光地にある「顔出しパネル」を用意してくれるに違いない。
9:13
ここには絶対に跳ね橋が欲しかったな。でも、正面ゲートを通ったのは一番だったが、モノレールを降りてから外観の写真を撮っているうちに取り残されてしまい入城は遅くなり、一番乗りという感激が消えうせてしまった。
よし、次は太陽公園白鳥城入場100万人目を目指そう。でも、そういうのは「おひとりさま中年おっちゃん」が本当の100万人目だとしても、間違いなく次の100万1人目の家族連れのときにクス球が割れて、記念品贈呈・記念撮影となるのは目に見えている。
本当に何のオープニングイベントもない、報道関係者が取材に来ているわけでもなく、これまでの太陽公園のように「勝手に見ていけば」的雰囲気があるだけだ。ただ、昨日の竣工式の名残の胡蝶蘭が並んでいる。
ここは「下の中庭」館内へは右手の扉から入る。
館内案内図を見ると、今いるのは2階レベルで各階の表示は次のようになっている。
7階 | 吹抜・ギャラリー・倉庫・ステージ・展示スペース |
6階 | 展示スペース・倉庫・休憩コーナー・温室 |
5階 | 製作及び活動のビデオ視聴ルーム・休憩室・福祉ショップ・事務所・倉庫 |
4階 | 作業場(パウンドケーキ工房・パン工房・木彫工房)・展示スペース・倉庫・ホール・事務所 |
3階 | 作業所・福祉ショップ・厨房・食堂・上の中庭・倉庫・ホール・事務所 |
2階 | 機械室・電気室・変電設備室・倉庫・受付・下の中庭・エントランス・荷物預所 |
1階 | 駐車場 |
館内は全て公開されているわけではなく、作業場などの福祉施設部分は非公開となっている。ショップも開店するみたいだが、今日は見ることができなかった。
9:22
城内も石積みの内装を期待してたが、そこまでの建設資金はなかったのか、極普通の安っぽいとも言えるものになっているのが残念だ。
最初の部屋はベンチの並んだ休憩室で、白鳥城メーキングビデオが延々と流れている。さあこれから館内を巡ろうと勇み立っている皆様は、ほとんどが素通りしてしまうが、じっくり見るとこれが面白い。
特に、理事長の門口堅蔵氏そっくりのブロンズ像がクレーンに吊るされて、屋根の北側隅に据えつけられるシーンが印象的だった。今は下から見上げても誰かは分からないが、理事長自らが白鳥城の守り神になっているのだ。
展示スペースは絵画が主体の美術館となっている。でも白鳥城へ絵画を見るのが目的で行く人は皆無だろうし、純粋芸術に対する一般的感覚の恐ろしいまでの低さを思うと、美術館としての利用はどうかなと思う。
私は彫刻やオブジェなどの立体芸術が大好きで造詣も深いと自負しているが、平面芸術はあまり興味がなく素通りするだけだ。なにかもっと太陽公園らしさを前面に出した展示にするとよいと思うのだが。
お城なので当然ながら窓は小さい。それも外には丸柱が立ち、小さな窓はさらに小さく区切られ、眺めは芳しくない。こういう施設なら、最上階へエレベーターで上り後は階段を下りながら見学するパターンが多いが、ここの順路は階段を登り最後にエレベーター下りる。それも2階から7階まで6階分も登らされる。エレベーターで1階づつ登ることもできるが、この順路構成は再考を要するのでは。
6階だと思うが、北端に「王座の間」という2階分が吹抜けになった部屋がある。いまだ天井画を描いている真っ最中で、この部屋が完成した暁には王座が据えられ、王様や王后の衣装を羽織って記念撮影ができるのかな。
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天井にライティングレールは設けられているが、照明器具の納品が間に合わなかったのか薄暗い部屋も多かった。秋ぐらいに訪れれば、展示内容も設備も充実しているだろうが、今は「なんだかな」で太陽公園らしくもある。
オープン10日後の4月29日に妻その1と再訪したときは、スポットライトも設置されていて、展示室は見違えるような明るい雰囲気に変わり、絵の一枚一枚が命を得たかのように自己の存在を主張している。同じ作品なのに、照明が変わるだけでこうも魅力的に見えるのかと思うと、妻その1に当てている照明も変えてみよう。
けれども、入園者はなぜか足早に通り過ぎるだけなのは変わりはなかった。
6階の狭い窓から3階の「上の中庭」を撮ってみた。南向かいのアンテナ塔が3本立つ山の名前は「白鳥山」といい、そこから見た白鳥城が一番素晴らしかった。但し、低山といえど自分の足で登らなくてはならないので、それなりの覚悟が必要だ。
6階南東角部屋は案内板では「温室」となっていて、大きな窓からは東側の書写山が見える。逆に書写山の六角坂参道や刀出坂参道からは、参道周辺の木々が邪魔をして白鳥城は全く見えない。
赤いカーペットが敷かれた廊下を行く。一部内装に凝ったところもあるが、全体の簡素さと比べて取って付けたようなな感じで余計におかしい。
最上階の7階は展示物のない大広間で、案内板でステージとなっているところには、大理石製の祭壇が設けれている。本来ならキリスト教式の何かがあるべきところだが、祀られているのは「太陽神」、「南無阿弥陀仏」そして「神禰如来神大神」の三神だった。最後のもう読むことさえできない神様は、誰なのか謎だ。
7階からエレベーターで3階に下りると、「厨房」のはずが「口と足で描く世界の絵画展」会場だった。いずれも小品だが鑑賞に堪える出来栄えのものばかりだ。
9:55
館内を巡るのに30分かけ、3階の「上の中庭」に出る。普通の通路から普通の鉄扉を抜けると、一気に中世騎士道の世界だ。
やはりこの城は、中からよりも外から見たほうが俄然素晴らしい。まあ張りぼてと言えば張りぼてに違いないと思うが、よくできている。入場料1,300円(太陽公園本体+モノレール+白鳥城)を払っても一見の価値はあり、がっかりすることはない。はっきり言ってお勧めだ。
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もっとたくさんの人々が押しかけて来るかなと思っていたが、残念ながらオープン初日なのに閑散とした白鳥城だった。元々入園者の少なかった太陽公園なので、これでも大入り盛況ともいえるが、スタッフの方々も津波のように押し寄せ大混乱になったらと心配していたことだろうし、ホット胸を撫で下ろしたことだろう。
昨日の竣工式に来たのか、兵庫県知事井戸敏三氏、姫路市長石見利勝氏、兵庫県議会議員水田宏氏、参議院議員山東昭子氏、衆議院議員戸井田徹氏からの贈られた胡蝶蘭も飾られていた。
白鳥城の見所
6階「王座の間」の北側にバルコニーが張り出しているが、その六つの支え壁の根元にレリーフが施されている。理事長門口堅蔵氏の幼少のころから今に至るまでのもので、白鳥城をまるで私物化しているが、元々氏の私物のようなものなので何も問題がない。
ただコピー元のノイシュヴァンシュタイン城の同じ位置に何があるのかが気になるだけで、そこにバイエルン王ルートヴィヒ2世のレリーフがあれば面白い。
さらに屋根北端に白鳥城の守り神として永遠に立ち続けるブロンズ理事長と合わせて、合計10人もの理事長門口堅蔵氏に守られ、白鳥城の将来は末永く栄え続けるに違いない。
でもどこかに11人、12人目の理事長が隠れているような気がする。
ウエルカムハウス「スワン」
白鳥城の麓の無料区域に、これも今日がオープンのウエルカムハウス「スワン」がある。短期間で建てたためか造形的には詰らなく、白鳥城の南麓に以前から開業している同系列のCafe HIKARIKANなどに比べたら数段見劣りがする。
2階は、な、なんと600名を収容できるレストラン「スワン」だ。観光バス10台分の客が一気に攻めてきても、余裕でサービスできるキャパシティを持つとは、太陽公園は本気で観光事業を始めようとしているのかもしれない。
メニューはドイツをかなり意識したもので、現状のメニューの品数は少ないが、値段的にはまあ観光地としてはリーズナブルなものだ。
オープン限定メニュー
■NEWオープンにつき、限定メニューをご用意いたしました。ドイツハンバーグ
(スープ、ライスorパン)¥1,200 有頭海老フライ&ハンバーグ
(スープ、ライスorパン)¥1.200 夢前御前 ¥1,300 天ぷら丼 ¥800 天ぷら御前 ¥950 ドイツ風ソーセージ(M) ¥800 かつ飯スワン風 ¥800 お子様ランチ ¥700 季節の野菜ビーフカレー ¥800 ドリンクメニュー 生ビール中ジョッキ ¥500 ビール(中ビン) ¥500 レーベンブロイ ¥550 ノンアルコールビール ¥550 ドイツ輸入ビール ¥550 ブレンドコーヒー ¥350 アイスコーヒー ¥350 オレンジジュース ¥450 ウーロン茶 ¥300 アイスクリーム ¥200
まだ10時40分と早いが、広い店内に客は5人ほどと寂しい。バスツアー客が大勢入るようになれば、個人客など相手にしないようになるかもしれないが、ウエイトレスさんは可愛いし接客態度もよく好感が持てた。
ここで私が注文したのは、これまでの播州野歩記の読者なら分かるだろうが「季節の野菜ビーフカレー」と「アイスコーヒー」。本当は「ドイツハンバーグ」と「ドイツ輸入ビール」2本を注文したかったが、自転車で来たし播州野歩記なのでカレーを外すわけにもいかない。
注文から10分ほどと予想外に待たされたが、これはまだまったく慣れていないオープン日とあっては仕方がないだろう。味の方はこれまで食べてきたカレーの中では上位に入るもので、満足できるものだった。
1階の西側半分はファーストフードの「Cafeヒュッセン」。こちらもドイツを意識したメニュー構成だ。当然ながらここでの飲食はしなかったので、味の方は不明。
FOOD MENU ジャーマンドッグ ¥350 ジャーマンチリドッグ ¥380 ジャーマンカレードッグ ¥380 SIDE MENU フライドチキン ¥350 フライドポテト ¥300 DRINK MENU ブレンドコーヒー ¥250 アイスコーヒー ¥250 コカ・コーラ ¥250 スプライト ¥250 カルピス ¥250 ウーロンティ ¥250 オレンジジュース ¥250 ファンタメロン ¥250 生ビール(カップ) ¥300
1階の東側は「播磨のおみやげ白鳥の館」だ。一大観光地の姫路城を持つ姫路市では、新たなブランドを造らずとも、膨大な品数のおみやげ物を容易に集めることができるので目新しいものはないと、思う。
いや、一つだけ見つけた。白鳥城のイラスト(もしかすると本家のかもしれない)が描かれた「ゆめさき特産・純正卵蜂蜜入り 白鳥の卵せんべい」だ。中身は柔らかめの瓦せんべいで2枚入りが6袋入っていて、値段は630円と値段は少し高いかなと思うが、味は合格点レベルに達している。
さらによく探したら、これ以外にも新製品があるかもしれないが、姫路市民にとっては姫路観光土産は意味のない物なので、熱が入らなかった。ここで一つだけ注文したいことがある。ここもオープン初日とあって不慣れなことは分かるが、1箇所しかないレジが極遅。早急なる改善が望まれる。(4/29にはレジが3箇所になり改善されていた)
ついでに太陽公園も入るか
白鳥城の麓の白線も何も引かれていない風変わりな駐車所は、観光バスとタクシー専用で、もうすでに観光バスが入っている。
11:25
有効期間は今日だけの、太陽公園本体の入場券も付いているので入園するが、もう広い園内を歩き回る元気はない。
この凱旋門をくぐり抜けると、一瞬にして異世界へと誘われるように感じるのは私だけだろうか。でもこの凱旋門も良くできているなあ、本物は見たことはないが。
兵馬俑坑。いつ来ても凄いところだ。日本で本物と同じ技法様式で作られた兵馬俑坑を見られるのは、ここ太陽公園だけだ。
11:35
すでに家を出てから5時間、ここはまだ太陽公園のとば口だが、奥へ進む気力を失ってしまった。
白鳥城オープンの記念品
特別御招待券1枚と杵屋の紅白薯蕷(じょうよ)饅頭は分かるが、てっきり赤飯が入っていると信じて疑わなかったものが、開けてみると中から三省堂の「新版 カタカナ語辞典 特装机上版」が出てきて、驚いてしまった。太陽公園とカタカナ語辞典の間になにか関連性があるのだろうか。また謎が一つ増えてしまった。
よし、次は妻のその1と一緒に行こうと決心する私だった。
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