高坪山から南山への縦走路
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平成16年3月6日(土) メンバー 私だけ
高坪山 | たかつぼやま | 105.9m |
南山 | みなみやま | 166.8m |
2万5千分の1地形図「姫路南部」を参照すること。
姫路市南東部の縦走コース
姫路市の南東部、小赤壁・木庭山の北側に位置する「高坪山」から、JR御着駅南の「南山」まで縦走してみた。途中、国道250線と姫路バイパスを横断するが、それ以外はこの山域を南北に貫く送電線の巡視路を利用することで快適な山行を楽しむことができる。
この山域は御旅山・麻生山(小富士山)・仁寿山・桶居山・高御位山・日笠山とそれなりに有名な山々に囲まれ普通のハイカーには見向きもされない。実際周囲から見ると見栄えのしない山々だが、結構眺望がよく周囲の山々のよい展望台となっている。今ならまだ歩く人もいなく、静かな山歩きを楽しむことができる。
八家地蔵〜高坪山〜国道250号線
8:24
妻の運転する車で姫路市的形町の「小赤壁」海岸沿いにある「八家地蔵」(遊魚センター入口)まで送ってもらう。特に八家地蔵ら出発する理由はないのだが、海岸から出発するのが大好きなだけだ。八家地蔵・小赤壁については姫路の小赤壁、早朝散歩で記述している。
小赤壁・木庭山の北側の、この道を路線バスが本当に通るのかと思うほど狭い部分がある道を行くと、道の南側に「袖もぎ地蔵」が祀られたお堂がある。お地蔵さんは大事に守られていて外からはよく見ることができないのが残念だ。
袖もぎ地蔵
縦144cm、横86cmの凝灰岩製の家型石棺の蓋石に像高65cmの地蔵立像が浮彫りされ、像の左右の刻銘から貞治3年(1364)沙弥西信によって造立されたことがわかる。
伝説によれば、この地蔵の前でつまずいて転んだ者は、着物の片袖をちぎって供えなければ凶事が起こるといわれ、転んだ人が厄払いのために袖を供えたことから、その名が着いたといわれている。平成4年3月 姫路教育委員会
銘文 貞治3 8月24日 願主沙弥西信啓白
8:36
袖もぎ地蔵と反対側の道端に「火の用心」の送電線巡視路標識があり、そこから北に狭い地道が山へ入っている。ここから高坪山の頂上まで巡視路が通じていればいいのだが。
8:39
あっという間に本日最初の送電線鉄塔に到着。「姫ニ火力線13」で、まだ標高も低く展望はない。地形図では送電線が西から来て北に曲がるところだ。ここから北側の道は3本に分かれている。北西と東に行く水平な道と、北への登り坂の道の3本で、取り合えず真ん中の北に登る道に入ってみる。
8:47
赤く塗られた関西電力のマークが付いた標石を辿っていくと、尾根の上の柵に囲まれた畑に着いた。畑の西側を回り北に進むが道が怪しくなりそして消えてしまった。
9:04
潅木の中を進み最後は笹薮をかき分けていくと、どうにか道に出ることができた。おそらく13鉄塔から北西に行く道の続きだろうと思うが確認はしていない。
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9:08
笹薮の中を行く道が、竹薮の中の道となり、竹薮を抜けると「姫ニ火力線14」の鉄塔がある。ここも周囲を雑木に囲まれ展望はない。
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9:20
竹薮の中の暗い狭い道を抜けると、送電線鉄塔「姫ニ火力線15」が開けたところに立っている。ここが高坪山の平坦な頂上で、潅木と笹が茂っていて展望はない。ここまで展望がよかったのは、出発地点の八家地蔵から見た小赤壁ぐらいで、高坪山の南側は全くの無展望地だ。
三等三角点標石(点名:的形)は鉄塔から20mほど東側の笹薮の際にあり、山名板と登頂記念プレートが1枚づつ木から下がっている。展望は悪いが、それでも頂上の北端に行けば麻生山方向を望むことができる。
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高坪山の北側斜面は低木と笹原と草原で見通しがよく3基先の送電線鉄塔まで見える。国道250号線の北側、81m標高点ピークの手前には面白そうな形の建物が立っている。
250号線の切り通し近くは草原になっている。草が枯ている冬場は歩けるが、イバラも混じるこの草原を夏場に通過するのは困難だろう。切り通しの崖に突き当たり、西へフェンス沿い下り車道に下りる。
WEBには高坪山の情報が全くなく、不人気の山だが今回歩いてみてその訳がわかった。海岸近くの山の特権である広々とした瀬戸内の展望がなく、北側は多少展望はあるが冬場しか登れない山に人気があるわけがない。
国道250号線〜姫路バイパス
ここから姫路バイパスまでには分岐や脇道がたくさんあったため、記憶違いによる誤記がある可能性があります。注意してください。
9:54
国道を渡り「関西セルラー電話株式会社 八家通信所」のところから北に入る。「火の用心」標識もあり間違いないだろう。国道沿いに東に登ると北側に分岐があり「火の用心」標識も北を指している。
10:01
畑の手前を(地形図にも畑印がついている)東に行き(道の真ん中にある野壺に注意)フェンスに囲まれた「姫ニ火力線16」に着いた。
81m標高点の手前に、小学生のころ作りたかった秘密基地を、実際に造ってしまったような手作り感溢れる二階建て?の木造建築物がある。個人の住宅なのでここに写真を載せることはできないが見るからに楽しそうな建物だ。畑の西側の道を登り行ってみる。
注意書きが道端に落ちている。
告
非常に残念な事ですが、花木を勝手に持っていく盗人がおります。
よって、地主の許可なく この土地に入る事禁ずる。3月の末 梅の木 4月の始め 柿、ミカン そして、4月末 柿、その他色々
特に許せないのは、梨の木を抜いて放置して枯らした事です。
警察には、連絡しました。今後、見つけ次第 しかる処置を取ります。
罰金として、今までの分含め 高額な金額を請求します。不信な人物 いましたら、警察に連絡ください。
ここの場所は、姫路市的形 丸山です。
姫路警察署 0792-22-0110 姫路市本町68
飾磨警察署 0792-35-0110 姫路市飾磨区中島1130
残念ながら周囲に不審者はいなかったが、この丸い丘の名前が「丸山」だということが分かった。丘の上は下草がきれいに刈られていて果樹園のように見える。
10:21
「丸山」から北に下る道はないが、適当に雑木の間を下りていくと広い道に下りることができた。
西側の八木小学校の方から来ている道のようだ。その道を東へ道を登ると、T字路に出た。T字路から確認のため、丸山の東側を南下すると送電線鉄塔「姫ニ火力16」に戻ることができた。
10:28
16鉄塔の西脇に北に行く道があり「火の用心」標識もある。始めは丘の上にある建物に気を取られ気づかなかったが、今度は巡視路を北に進むことにする。
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10:38
送電線鉄塔「姫ニ火力17」に着いた。古い木の道標があり南方向は「的形」となっている。昔はこの道もハイキングコースだったことがあるのだろうか。
この鉄塔から西側に八木小学校から姫路の臨海工業地帯がよく見える。南の高坪山に比べると 名もない北側の山の方が展望もよく道も明確で楽しく歩くことができる。
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10:52
八木小学校から北東方向の、三方から丘が交わる峠に着いた。谷道3本・尾根道3本の六叉路の峠を期待していたが、残念ながら十字路でさえなく、南東方向に分岐があるだけだ。ただその分岐道は背の高いササに囲まれトンネルのようになっているのが面白い。
10:57
そんなに急ではないが送電線巡視路名物のプラ階段が現れ111m標高点ピークの南東にある「姫ニ火力線18」に到着。本日6基目の送電線鉄塔だ。ここも南側が開けていてまずまずの展望だ。
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11:04
111m標高点ピークには南に行く分岐道があり、ここには古い木の小さな道標があり「たんさくろ」となっている。どこに行くのか確認するため分岐道を行ってみると、八木小学校の北側の尾根を下っていくことが分かった。思うに、むかし八木小学校にはハイキングの好きな先生がいて小学校から山の中を周回できるルートを開拓したのだろう。
11:17
主尾根を行く巡視路に引き返し北に進むと、今度は分岐道が東側にある。道標はあるが倒れていて役に立たない。「八木小」と「バイパス」が反対方向、「東山大池」がそれと直角方向に付けられている。「八木小」を南向きにすると「東山大池」が道のない方向を向いてしまい、どうも理解できない。
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北に行ってみると道は西へ曲がり下って行く。これは「東山大池」方向の下山路のようで、送電線から完全に離れてしまうので分岐に引き返す。
東に尾根から下ると正面に送電線鉄塔が見え、途中に北に行く「火の用心」標識がある分岐がある。その分岐から送電線鉄塔までは「行って来い」になっている。
11:28
行き止まりの「姫ニ火力線19」に着いた。今日は行ける送電線鉄塔は全て行こうと思う。この鉄塔には高いところに注意書きがある。
注意 昇塔時、作業時は次の事項を守ること。
- 接地アーム L側において作業を行う場合は接地装置(A、D脚面 第1パネル)により絶縁架空地線および配線を接地すること。
- 降塔時には、同装置において接地をとりはずすこと。
まあ生きている間に送電線鉄塔に登ることなどない、我々一般人には関係のない注意のようだ。それでも送電線鉄塔の4本の足には、A・B・c・Dと名前が付けられているのが分かった。
11:34
分岐まで戻り北に進むと、この山系を東西に横断する送電線の鉄塔「飾磨港加古川線27」が尾根の中央に立っている。西側が開けていて麻生山・仁寿山が見える。
11:39
91m標高点ピークの手前の鞍部は十字路になっている。西に下る道ははっきりしないが、東には明確な道が下っている。ここには「山火事予防」の看板が1枚と「火の用心」が2本立っている。
11:44
T字路に突き当たった。分岐の多い送電線巡視路だ。右は20、左は21となっている。20は「行って来い」になるはずだが確認のため行ってみる。
11:46
予想どうり行き止まりの「姫ニ火力線20」に着いた。紅白に塗られた鉄塔で、ここにも上のほうに注意書きがある。
注意 静電誘導方式航空障害灯設置鉄塔昇降時作業時は次の事項を守ること。
- 昇塔時には中間踊場において接地装置により絶縁架空地線および配線の設置を取付けること。
- 降塔時には同装置において接地を取外すこと。
19の注意書きと操作は似ているが、目的が少し違うのかなと思う。カラスが10羽ほど飛び交っていて、何かあるのかなと思っていたら空が暗くなり風が吹きはじめ粉雪が降り始めた。
11:58
91m標高点の北側にも右側に分岐があり、高さ1m程の切り通しの先は東に下っているようだ。
この分岐地点には「山火事予防」の看板が一枚だけ木に架かっている。雑木に囲まれ空も暗く、送電線の風を切る音がビュービューと頭上から鳴り響き、雪も降りやまずかなり不気味な雰囲気になってきた。
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12:01
またまた分岐があり、「火の用心」標識に書かれた数字から見ると、21への「行って来い」分岐のようだ。とりあえず分岐を左に21へ行ってみることにする。
12:03
分岐から登った先には紅白鉄塔「姫ニ火力線21」が立っている。ここは展望もなく登ってきて損をした。雪はまだ降り続いている。
12:06
分岐まで戻り北に進むと、今度はY字路に出合った。標識類は全くない。両側とも同じ幅の同じ感じの道でどちらに行けばいいのか分からない。右に行くのが好きなので、右に進む。しばらく行くと道は尾根を登り始めた。どうやら右に行くという判断は正しかったようだ。
暗い雑木林を抜け尾根に出ると、ようやく雪も止み空が明るくなってきた。と思ったら日も射してきた。忙しい天気だ。
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12:19
また分岐がある。直進は狭い踏み跡、左は「火の用心」付きの広い道。直進もどこに行くか興味があるが、ここは左に曲がる。
12:21
またまた分岐だ。左側に尾根から下る分岐道があり、「火の用心」標識は3方向とも付いている。とりあえず直進する。
12:23
フェンスに囲まれた「姫ニ火力線22」に着いた。ここで巡視路は行き止まりとなっている。北側は姫路バイパスの切り通しで、車の走る音が聞こえてくる。次の送電線鉄塔は姫路バイパスの向こう側にあるので、一旦戻り西への分岐を下りればいいだろう。
平成15年1月1日発行の2万5千分の1地形図「姫路南部」では姫路バイパスの南で、東西に送電線が横断しているように記載されているが実際には鉄塔は立ってなく送電線もない。
12:34
22南の分岐まで戻り西側に下りる。姫路バイパス近くまで下りたがフェンスと廃車置場に行く手を遮られ、バイパスの側道に出ることができない。今日は人がいなそうな廃車置場の敷地を通らせてもらい側道に出ることができた。
側道を切り通しに向けて東に登ると、南側フェンスの中に「火の用心」標識が見える。どうやら送電線巡視路はフェンスを乗り越えるのが正しい行き方のようだ。姫路バイパスに架かる陸橋を渡り「南山」側に行く。
姫路バイパス〜南山〜鉄工団地
姫路バイパス切り通しのコンクリート崖には、鉄階段が設置されていて上まで簡単に登れそうだ。立入禁止の表示もないし登ってみようかなと思ったが、送電線巡視路の登り口が見つからない場合の最終手段に残しておくことにする。
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12:47
切り通しを西に下り、北へ行く道を少し入ると道端に「火の用心」標識を発見。これで鉄階段を登らなくてすみそうだが、尾根に登る道はかなり険しそうだ。
12:49
巡視路を登り始めて直ぐに分岐があり、その先には「新加古川連絡線48」鉄塔が立っている。これで本日12基目の送電線鉄塔だ。
12:55
本日の山行の中で最も急な斜面を必死に登り尾根へ出る。尾根には「火の用心」標識があり、南の23は「行って来い」だ。切り通しの鉄階段の上の様子を知りたいので一旦南に向う。
12:56
紅白の「姫ニ火力線23」送電線鉄塔の南は雑木の籔で、とても鉄階段まで行けそうにない。階段を登らなくてよかった。
この鉄塔からは「南山」の頂上に立つ送電線鉄塔も見え眺めもまずまずだ。遅くなったが、ここで昼食をとることにする。
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13:18
昼食を終え出発する。
13:28
巡視路の東脇にある「姫ニ火力線24」に着いた。ここからは東の日笠山や高御位山を見ることができ、南側の今日歩いてきた鉄塔群を見ることもができる。
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13:35
地形図の西から登ってくる破線道と合流し、北に進む。行く手の尾根には南西方向から延びてくる送電線の鉄塔が2基そびえている。
13:39
「姫路火力東線22」通過。
13:41
「姫一火力線26」に到着。この鉄塔からは東の麻生山方向がよく見える。南山は外から見るとぱっとしない山だが、展望だけはよく周囲の山々をみるには最高の場所だ。
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13:52
南山頂上の西側にある御着南山公園の東屋に到着。東屋に着く手前に東の三角点方向の送電線鉄塔に行く巡視路の分岐があるが、より長く縦走をするため、破線道をそのまま北に行くことにする。
この東屋から北は私の誰も知らない御着南山公園に詳しい記録があるので省略する。
14:24
JR御着駅の近くの鉄工団地に下山。縦走を開始してから6時間、出会った送電線鉄塔19基、出会ったハイカー0人、北に進むほど展望がよくなる楽しい山行だった。
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